ディクシャをした人の中には、いろいろな事が起きた方がいます。
その中でも記憶に残っている人のことをお話ししようと思います。

もう十年以上前になりますが、その方は智子さんという40代の女性で、知り合いから頼まれてお会いしたのでした。
ホテルのロビーでお会いしてお話しを聞くと、3つのことで苦しんでいるということでした。

まず1つ目は、智子さんは5年ほど前に再婚されたそうですが、結婚当時はラブラブだったのが徐々に愛情も冷めて、いまはどうやら旦那さんが浮気している女性がいるらしいのです。この冷え切った関係に耐えられなくて、別れたいけれど子供もいるし、辛い毎日を送っているとのことでした。

2つ目の悩みは、小学生と中学生の男のお子さんがいて、ふたりとも数年前から不登校になっているそうです。理由はわからないけれど学校に行きたくないということで、最近はずっと部屋に引きこもり状態だそうです。
ただでさえ旦那さんのことがある上に子供たちは引きこもりで、家中が暗く冷え切っているんです、とやつれた顔でお話しされていました。

3つ目の悩みは、智子さんは子供の頃から人に見えないものが見えたり予知を感じたりするらしく、その能力を活かして、いまはタロット占いを生業としておられます。生来の能力があることも手伝ってすごく当たるので有名になり、特に最近は重い悩みを抱えた人が多いらしいのです。
たとえば相談に来たある女性は、妻子ある男性と付き合っていたけれど奥さんにバレて会えなくなり、その事が原因でリストカットし続けていていて、相手を殺して自分も死のうと思っているが、それはいつがいいか、というようなとんでもない相談だったり。
このように、聞いているこちらが暗くなるようなディープな悩みを抱えている人が次から次へと来るそうです。

これらの三重苦で、もう生きているのが辛くて苦しくて、どうしたらいいのかわからないということでした。

僕は悩み事の相談に乗ることはあまりないのですが、そのときはなぜか、
「ではひとつお聞きしますが、2つ目の、お子さんが不登校ということのいったい何が問題でしょう?」
と聞いたのです。
そうすると、智子さんはしばらくじっとしたままでしたが、やがてボロボロと涙を流されたのです。
どうしたのかと聞くと、
「これまで学校の先生にも家庭に問題があると言われていたり、近所からも気の毒そうな目で見られていたり、それらのことがずっと辛かったんです。でも、HARUさんにその何が問題かと言われたときに、心の奥底にある真実に気がついたんです。それは子供たちはただ不登校なだけで、そこには何も問題はない、ということでした。そうしたら子供たちへの愛情が溢れてきて、それを問題にしていた自分にこそ問題があるということに気がついたんです。そうしたら、子供たちに、ごめんね、ごめんね、という思いが溢れてきて、涙が止まらなくなったんです」
と言われたのです。
そして、そのあとディクシャをして差し上げました。
終わった後、どうですかと聞くと、そのときは特に何も感じないと言われました。
僕からは、
「何が起きるかは僕にもわかりませんが、おそらく必要なことが起きると思いますよ」
と言って別れました。

そして1週間ほどして智子さんと話す機会があり、その後どうですかと聞くと、開口一番
「世界が変わりました」
と言われました。
どうしたんですかと聞くと、ディクシャをした日の夕方から頭が締め付けられるように痛くなり、起きていられなくて旦那さんや子供には自分たちで何か作って食べてもらうように言って、倒れ込むようにベッドに入ったそうです。
そして翌日目が覚めると、自分のいる部屋が何かこれまでとまるで違って見えたそうです。
不思議に思ってしばらくそうしていると、智子さんの部屋に旦那さんがやってきていきなり土下座をし、お前をずっと裏切っていたことを許して欲しい、と言われました。
この人はいきなり何を言っているのだろうとビックリしたけれど話を聞いてみると、旦那さんは他に女性がいたけれど、智子さんを騙し続けていることに耐えられなくなって、そしてなぜか智子さんへの愛情が溢れてきて、思い切ってすべてを白状して謝ろうと決心したそうです。
それを聞いた智子さんは、普通なら怒りまくるはずが、なぜかこの人を許してあげようと素直に思えたそうです。
そしてそれから1週間たった今では、新婚当時の愛情が戻ってきて、また元のラブラブの状態に戻ったそうです。

そして数日後には、ふたりのお子さんが自分たちから学校に行き出したそうです。
どうしたの、と聞いても明確な理由もなく、なんとなく行ってみようと思って、と言うだけらしいのです。

そしてタロット占いですが、ディクシャの翌日から、重い問題を抱えた人はまったく来なくなったそうです。
それはまるでそこに結界が張られたように、ピタリとそのような人が現れなくなったそうです。

今回なぜこのようなことを書いたかというと、ディクシャを受けた人には、智子さんと等しく恩寵が降り注ぐということです。
人によってはディクシャを受けたけれど私には何も起きない、と言われる方がいます。
しかし高次の意識が人を差別するはずがありませんし、恩寵に多い少ないがあるわけでもありません。
必ず同じ恩寵が与えられます。
智子さんにはそのタイミングでそれが起きることが必要だったように、また別の人には必要なタイミングで必要なことが起きます。
それは、僕たちの小さな脳ミソで判断できる次元を遥かに超えています。

また多くの人は、世界が在ってその中に自分がいると思っていますが、実はその逆で、自分が在って世界があるのです。
世界も、人々も、神も、あなたの臨在の中に立ち現れているだけです。
ですから、恩寵によってあなたの次元が変わると世界は一瞬にして変わります。
その一例がこの智子さんでした。

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