僕が最初にインドに行ったとき、マスターが開口一番に言われたのは、このような言葉でした。
「あなたは決して幸福になることはありません」
幸福を求めてはるばるインドまで来た僕は、開いた口が塞がりませんでした。

マスターは続けてこう言われました。
「なぜなら、《あなた》があることが不幸なのです」

これは、後日知ることになるラマナ・マハリシの
「ただひとつの障害は、心である」
という言葉とまったく同じことです。

そしてマスターはこう続けました。
「だから、私は《あなた》を消します。
すると自動的に《あなたの不幸》はすべて消えます」
そしてディクシャをしてくださったのです。
こうして僕の真我実現への旅が始まりました。

《わたし》はマインドが作る、最大の幻覚です。
ラマナ・マハリシが言うように、マインドがあることが「ただひとつの障害」であり、それ以外の2つ目の障害はどこにもないのです。
ところが、私たちが行う試み、メソッド、テクニック、修行、努力はすべてマインドに支えられています。
だからそれを続ければ続けるほどマインドが強化され、苦しみが強化され続けます。
つまり、努力そのものが唯一の障害になるのです。

ですから、あなたが幸福になるためのただひとつの道は「明け渡し」です。
そして「恩寵」は「明け渡し」と比例します。
あなたがディクシャを受け、すべての努力を放棄し、自分自身で何かをすることを完全に諦めたとき、《あなた》は空っぽになります。
その空っぽになったスペースに「恩寵」が流れ込むのです。

《あなた》が今しがみついているものを手放してください。
最初にすべてを手放すことはなかなかできないと思います。
ですから、ひとつだけでもいいので、それを手放してみてください。
そうすると、確実に何かが変わり始めるはずです。

それが「苦しみの終わり」の始まりです。

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