ラマナ・マハルシはたくさんの動物に愛されました。
ラマナの動物の帰依者たちの中でも、最も可愛がられたのは牛のラクシュミーでした。
彼女はある人からラマナへの贈り物として、母親とともにまだ子牛のときに連れてこられ、町で牛を飼っている人に預けられました。
初めて会ったとき、その子牛はラマナにたまらない魅力を感じたらしく、あくる日から彼女はたったひとりで毎朝ラマナのアシュラムにやってきて、夕方になるとやっと町に帰りました。
後に彼女がアシュラムに引き取られて暮らすようになっても、彼女は毎日ラマナを訪ねました。周りの誰にも注意を払わず、彼女はまっすぐに彼のもとへ向かうのでした。
何年もの間、彼女はラマナが大食堂へ行くときのお供をするために毎日ホールへやってきました。
彼女は非常に時間に厳格で、もしラマナが何かに忙しく時間を忘れているときでも、彼女が入ってくると彼は時計を見て時間になったことを知るのでした。
アシュラムに石造りの牛小屋が完成したとき、その落成式にはラクシュミーが最初に入ることになっていました。しかし時間が来てもどこにも彼女は見あたりませんでした。
彼女はラマナのところへ行ってそのそばに横になり、彼が一緒に来るまで一歩も譲らなかったのです。
結局、ラマナが最初に入り、彼女が彼の後に続いて入ったのでした。
彼女がラマナに並外れて帰依していたというだけではなく、ラマナも彼女に対して恩寵と優しさを注ぎました。
月日が流れ、ラクシュミーは病気になり、彼女の最期が近づいていました。
ラマナが彼女のところへ行くと、彼は言いました。
「かあさん、私にそばにいてほしいかい?」
ラマナは彼女の横に座ると彼女の頭をひざにのせました。
ラマナは彼女の目を見つめ、ディクシャ(イニシエーション)を与えるかのように、彼女の頭とハートの上に手をのせました。そして彼は頬を彼女の頬に合わせて愛撫しました。
彼女のハートが清らかで、すべてのカルマから解放され、完全にラマナだけに心が定まっていることに満足すると、ラマナは昼食のために食堂へと向かいました。
ラクシュミーは最後の瞬間まで意識を保ち、彼女の目は穏やかでした。
