漁師

スペインのある小さな村に漁師がいました。
彼は好きな時間に起きて、漁に出ます。
戻ってきたら子どもと遊んで、女房とシエスタをします。
そして夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって一日が終わるという生活でした。
ある日、バカンスに来ていた金持ちの男がその漁師のそばにやってきて言いました。

(男)やあ、すばらしい魚だね。毎日どれくらいの時間、漁をしているの?
(漁師)ほんの一時間くらいさ。オレとオレの家族が食べるにはこれで十分だから。
(男)へぇ。でも君は魚釣りが得意なようだね。せっかくならもっと働いてみたらどうだい?
僕はハーバード大学でMBAを取得して、そして自分で会社を大きくしてきたから、きみにいろいろとアドバイスできると思うよ。
いいかい、きみは毎日もっと長い時間、漁をするべきだ。部下を雇ってもっと売り上げがでたら最新設備のボートも買ったほうがいいね。
(漁師)ほー、それで?
(男)そうしたら仲介人に魚を売るのはやめて自前の水産品加工工場を建てて、ビジネスを大きくするんだ。
やがてはこの村を出て都会へと進出していくといい。そしてきみはオフィスビルから企業の指揮をとるんだ。そうすれば老後もお金ができるよ。
(漁師)なるほど、そうなるまでにどれくらいかかるんだい?
(男)二十五年、いや、頑張れば二十年でそこまでいくね。
(漁師)へぇ、それからどうなるの?
(男)そしたら引退して、海岸近くの小さな村に住むんだ。日が高くなるまでゆっくり寝て、日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごす。そして夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごすんだ。
どうだい、すばらしいだろう!